パーキンソン症に特徴的な、
安静時振戦・仮面様顔貌などは顕著ではないのですが、動作の開始が困難で動きが全体にゆっくりとしています。動作は小さく、すくみ足(歩行開始時に第一歩を踏み出せない)、小刻み歩行、前傾姿勢 などなどが見られます。
初回
「足に力が入らない。腰が曲がる、痛い。」と娘さんに連れられて来院されました。しきりに 「本来の自分とは違う、昔と違う。」と現状に不満と不安を訴えておられます。
すべての苦痛がパーキンソンのせいだと考えておられるようです。
3回目
治療後耳の反応が改善すると、すくみ足・小刻み歩行・前傾姿勢にも改善が見られるようになりました。腰痛も改善し、治療前と後との違いもしっかり認識出来ているようです。穏やかな表情で帰られました。家族によるセルフケア家庭療法を徹底してもらうよう、お願いしました。
7回目
症状はずいぶんと軽くなっているように見受けられます。パーキンソン特有の症状が出ないと体の痛みも少なくなるようで、一人で買い物に出かけたり遠出したりしているようです。しかし、無理をすると次の日に悪化することが多く、ここのところ、改善・悪化を繰り返しているのが現状です。
最終
当初、治療後は軽快になって帰られるのですが、翌週は悪化して来院される・・・。
そんな状況を繰り返されていましたが、家族の見守りと本人の自覚によって徐々に症状が安定してきた。これを期に家族によるより一層のケアをお願いして一旦終了としました。
治療のポイントと反応点の状況
平衡感覚に関係の深い耳のつぼの治療を中心として、さらに痛みの出ている箇所を同時に治療していきました。耳以外では腹部全体の反応がひどく、改善に多くの時間を充てていきました。
治療の経過で感じたこと
平衡感覚に関係の深い耳の反応の改善がパーキンソン病の症状改善に役だつことが確認できた重要な事例です。パーキンソン病では姿勢の保持などが必要以上の筋運動を招きます。それが結果的に筋肉の障害を招き、痛みにつながる事が多いのです。同時に内臓の疾病状態が反射的に筋の障害を促したと考えられます。治療に際して患者の状況を整理・理解して施術することが重要だと感じました。